管理人Xの次の標的は現場の所長らしい。
どうやら所長をゴルフに誘ったようだ。
「来週の木曜日はどう?」
「まぁ、木曜ならなんとか」
そんな誘いは当然断るだろうと思ったが、27歳の所長は断るのが苦手らしい。
「え~、誘い断らなかったんですか?」
「うん」
「いくら近隣だからって、そんなの行く必要ないでしょ。それとも73歳のジジイと友達になるんですか?」
「いや、でも近隣だし」
さすがに呆れたけど、初の所長現場で、近隣の対応の仕方がまだわかっていないようだ。
「確かに近隣を無下にするのもよくないですけど、何でも言いなりになるのも違うと思います。気を使いながら適度に距離を取って接しないと」
ガードマンから近隣との接し方を教わる所長も珍しい。
「だって、じゃこうさんがいつも管理人さんと親しげに会話しているから」
「あのですねぇ、自分は友達になる気なんてこれっぽっちもありませんよ。仕事なので親しくしているだけです」
これは嘘ではない。
私が近隣と親しくするのは、苦情を和らげる目的のためだ。
言わば緩衝材。
親しくなると、近隣もきつい苦情は言いづらくなる。
苦情があっても、やんわりと言ってくるようになるのだ。
「それに所長、これから何現場も所長としてやっていくのに、その度ごとに近隣と友達になるんですか?」
「……」
どうやらわかってくれたみたいだ。
27歳の所長は、たぶん優秀な人なのだろう。
この若さで現場を任されたのだから。
だが、近隣対応を一歩間違えると、工事がやり辛くなるのは言うまでもない。
近隣とは、近付きすぎず、離れすぎずが一番。
こういうのも勉強なんでしょう。。。(-“-)
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