近隣から苦情が来た。
杭頭処理では、斫りの音がうるさいという苦情が必ずと言っていいくらい来る。
実に苦情確率80％だ。
コンプレッサーの斫りの音は確かに凄まじい。
休憩時間以外、ほぼ一日中バババッバババッバババッと斫っているのだから、うるさくないはずがない。
この現場でも例外ではなかった。
隣のマンションの管理人から「この騒音はいつまで続くんだ？ 住人から苦情が来ている。何とかしてくれ」というクレームが来た。
私はすぐに所長を呼んで、所長の後ろで神妙な顔をして話を聞いていた。
何とかしてくれと言われても、現場では杭の周囲を防音パネルで囲って、その中で斫り作業を行っている。
音を小さくするために、できることはすべてやっている。
その結果、騒音規制法で定めている騒音・振動に係る基準値（騒音85db、振動75db）も下回っている。
これ以上何をすればいいのさ？
私は、ふと思った。
うちの現場は15階建てのマンションだ。
隣のマンションも同じ15階建て。
地盤も地層も、お隣同士だからほぼ同じ。
つまり、隣もうちと同じ37メートル前後の杭が打ってあるはず。
杭があるということは、やはり同じ杭頭処理の斫り作業がある。
隣のマンションが建った5年前は、うちの現場の場所には木造二階建ての家があった。
一人暮らしのおばあさんが住んでいたと聞く。
おばあさんは、一日中斫りの音に悩まされていたはずだ。
だから亡くなられたんじゃないの？（すみません、私の勝手な憶測です）
それは自分たちがマンションに入る前の話だから、関係ない？
入居する前のことだから、責任はない？
そりゃあ、確かに法的な責任はないでしょう。
でも道義的な責任は感じないの？
この東京で、近隣に迷惑をかけないでマンションを建設することはできない。
自分の住んでいるマンションは、ある日突然、魔法でも使ってひょっこり建ったと思っているのか？ヽ( ゜ 3゜)ノ
例えば定食屋をやっていて、「11時半から13時半までは昼時なのでやめてくれ」とか「朝9時までは寝ているので9時からにしてくれ」とか言うならまだわかる。
ただやみくもに「うるさいからやめろ」では何も解決しない。
自分のとこだって、建てる時にはさんざん音を出していたくせにやめろはないだろ。
それに「何月何日から何月何日まで杭頭処理のため騒音が出ます」と近隣にはビラをくばって挨拶に回っている。
「いつまで続くんだ？」って、ビラに目を通してないのか？
ビラに目を通すのが管理人の仕事じゃないの？
まぁ、面と向かっては絶対に言えないけど。。。(‘〇’;)
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